WHY WE CHOOSE SHURE - Shureを選ぶ理由 -

エンジニア 早乙女 正雄氏 KSM製品レビュー

■Shure KSM9HS 
一言に「音楽を聴く」と言っても、CDで聴くのとライブ会場で聴くのとでは「聴き方」が異なり、CDにはCDの良さ、ライブにはライブの良さというものがあります。例えばCDの音質や雰囲気をライブで表現しようとした場合、スタジオ録音で使用したボーカルマイクと同じものをライブで使用すればよいかというと、必ずしもそうではありません。

それはライブ会場がスタジオの環境と異なるためで、ライブ会場においてはその環境におけるハウリングや他の楽器のかぶりの音などを考慮しつつ、目的に合った音質のマイクを選択する必要があります。

ライブ環境において、KSM9HSをハイパー・カーディオイドでボーカルマイクとして使用すると、低域は太くパンチがあり、高域は不自然に強調することなく、スムーズにのびています。他の楽器のかぶり音は自然な距離感で聴こえてくるので調整しやすいです。コンデンサーマイクですが、低域はダイナミックマイク的な太さ、高域はコンデンサーマイク的な伸びやかさで好感が持てるマイクです。

また、スタジオ環境においてサブカーディオイドにしてボーカルマイクとして使用すると、距離感とアンビエンス感が自然に聞こえ、リアルな感じがうまく伝わってきます。このように指向性を使い分ければより目的にあった使い方ができるので、このマイクが1本あればCDとライブ会場の音質を合わせるのには使いやすいと思います。

姉妹機のKSM9はKSM9HSよりは低域の太さやパンチは控えめなので、女性ボーカルに向いていると思います。このようにハンドマイク型のコンデンサーマイクで指向性が切り替えられるものは貴重で、コンデンサーマイクとダイナミックマイクの特徴をうまくミックスした商品です。

KSM9HSで歌う大橋トリオ氏
KSM9HSで歌う大橋トリオ氏

●KSM141 
スタジオ録音の際、楽曲の雰囲気に合わせて楽器の音質の調整や空気感を出すのに楽器とマイクの距離を調整しますが、多くのコンデンサーマイクはオフマイクにすると低域が少なくなってぼやける傾向になり、実際にスタジオで体感する低音の音色と距離感が録音した音ではうまく表現されない場合があります。

このKSM141は低域が太くなめらかで、高域はやわらかく伸びる自然な感じを表現してくれるマイクで、スタジオでオフマイクで使用しても実際の距離感と同じような高域と低域を表現してくれます。また、無指向性に切り替えて使用した場合、より空気感が増し、低域は自然に伸びる感じになります。

ちょうどこの距離感はリボンマイクのような感じで、ストリングスやアコースティックピアノ、ドラムのアンビエンスに向いているでしょう。このマイクをライブで使用した場合は、オンマイクで使用しても高域が近くなりすぎず、アタックが強調されすぎないので、音色を自然に表現してくれます。ライブではイコライザーで低域をうまくカットするようにしながらオンマイクで使用することで、この高域の特徴が活かされ、いろんなアコースティック楽器に使用できるでしょう。

このマイクは単一と無指向性とに切り替えられ、3段階切り替えのパッドと2段階のローカットフィルターを備えたコンデンサーマイクで、音場感をうまく表現でき、コンデンサーマイクとリボンマイクの特徴をうまくミックスした商品です。

大橋トリオ&早乙女正雄ビデオインタビュー

早乙女 正雄 (さおとめ まさお)

アルファスタジオAを経て現在はフリーランスで活動するエンジニア。 半野喜弘、星野源、Fried Prideなど幅広いジャンルにおける豊富な録音/ミックスの経験を持つ。 特に近年は大橋トリオの音づくりに手腕をふるっており、ライブではサウンドディレクターを務めている。 著書に「スグに使えるコンプ・レシピ」「ミックス・ダウンをDAWで学ぶ本」(リットーミュージック刊)がある。

シュア・ ジャパン株式会社

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