WHY WE CHOOSE SHURE - Shureを選ぶ理由 -

THE BACK HORN 山田将司氏 インタビュー
「SM58とともに歩んできた、っていう感じですね。」

1998年の結成から15年、激しいサウンド越しにシリアスな世界観を繰り広げ、ロック・ファンの間で熱い支持を集めているTHE BACK HORN。昨年9月から約4ヵ月に及んだ全国ツアー『KYO-MEIツアー ~リヴスコール~』の熱気も冷めやらぬ中、2月6日にはツアーのベスト・テイクをコンパイルしたライブCD:『KYO-MEIツアー ~リヴスコール~』を、さらに3月27日には自身2度目の日本武道館公演を完全収録したライブDVD:『KYO-MEIツアー ~リヴスコール~ at 日本武道館 2013.1.6』を連続リリースすることからも、今回のツアーにバンド自身が強い充実感を抱いていることが窺えます。そして、そのツアーの中でも際立っていたのが、ヴォーカリスト:山田将司の歌の表現力。彼のライブ・パフォーマンスを支え続けているヴォーカル・マイクのスタンダード=「Shure SM58」への想いを、本人にじっくり聞いてみました。

-   ツアーおつかれさまでした。1月6日の日本武道館ワンマンを観せていただいたのですが、まさに生命力そのものという感じの素晴らしいライブだったと思います。ご自身であのステージを振り返ってみていかがですか?

いいライブができたなあっていう感じでしたね。コンディションも最高の状態でできたし。でも、いろんな人に褒められると、逆に「まだまだいけるのになあ」みたいな感じもありましたけど(笑)。最近、ライブDVD(『KYO-MEIツアー~リヴスコール~at 日本武道館 2013.1.6』)のミックスをやってるんですけど、エンジニアさんに「いやあ、SM58でこれだけ声の通りがいい人はあんまりいないですよ」って言われて、すごく嬉しかったですね。

-   SM58は「道具」っていうよりは、もはやライブにおいては発声器官の一部みたいになっている?

なってますね。SM58でずっと、マイクの鳴りのいいポイントとかを探りながら歌ってきたところもあるので。SM58でできあがった歌とか声でもあると思うんですよね。レコーディングでも一回使ったことがあって。エンジニアさんが勧めてくれた、100万円くらいするいいマイクとSM58とを試したら、「……SM58のほうがいいな」って(笑)。自分の中では、オンマイクとオフマイクの使い分けが最近ちょっとできるようになってきたんだけど、そのニュアンスの違いが出しやすいというか。叫んだ時はこの辺で、ささやく時はこの辺で、っていう。ささやく時でも、俺の低い音域の厚みをうまく出してくれるし。

-   最新アルバム『リヴスコール』(2012年)は特にサウンド面での奥行きを持った作品でしたし、特に武道館ライブの1曲目に演奏された「トロイメライ」は、静かな部分と激しい部分の両極がある曲ですからね。あの曲を魂こめて歌うには、やっぱりマイクへの信頼感がないと無理ですよね。

それはありますね。あと、空気感も併せて静かな曲を歌いたい時は結構オフマイクで歌うんですけど、その時の声の乗りもめちゃめちゃいいですね。結構いろんな歌い分けもしてます。SM58をいかにうまく鳴らすかっていうか……一緒に育ってきたっていう感じですね。 俺、歌ってる時に汗とかツバがバーッて飛ぶから、ライブ中に5回ぐらいマイクを替えるんです。それで、ツアーが始まる前に5本まとめて買って、それを愛用してました。後で洗ってくれてるローディーさんとかマネージャーに感謝しながら(笑)。マイクを買った日、嬉しかったんで写メを撮ってツイートもしましたし……ケースから出して、マイクを枕の横に5本並べて、一緒に寝ましたよ(笑)。

-   (笑)。それくらい嬉しかったんですね。

そうですね。気持ちの問題としてそれはやるべきだなと思って。ツアー前に買いだめしたSM58が、俺の唯一の機材だし。これを通してお客さんに自分の歌が伝わっていくからこそ、絶対に自分のものをしっかり買いたかったっていうのもあるし。信頼を置いているからこそ、自分の心をこいつに開けるっていうのもあるし。だから、自分で買ったSM58でツアーをいい感じに終えられたのは、すごく嬉しいですね。

-   そもそもSM58を使い始めたきっかけは?

最初はやっぱり、「どこのライブハウスに行ってもあるから」っていうことで普通に使ってて。あの、握ってる感触とか質感とか……昔からそれを使って歌ってたから、単純に「落ち着く」っていうところもあるんですよね。 昔はずっとSM58だったんですけど、2004年頃に1年ぐらい、同じShureのBETA 57Aを使ってましたね。綺麗には聴こえるんだけど、PAさんが代わった時に「ローの太味があまりないね」って言われて。声質もどんどん太くなってきてるから、「太い部分を出すならSM58にしたほうがいいんじゃないか?」っていう話になって。SM58に替えたら、PAさんに「いやあ、こっちのほうが男らしくていいよ!」って言われましたね。それで、2006年ぐらいからはもうずっとSM58ですね。

-   面白いですね。「どこにでもあるスタンダードなマイク」が、自分の表現の一部になっていったわけですからね。

そうですね、ほんとに。不思議ですよね。マイクとして見てるけど、ただマイクっていうのが申し訳ないぐらい、ずっと一緒にいますからね。あと……握り方の関係だと思うんですけど、ウインドスクリーンと当たる親指の付け根に、タコができるんですよ。親指でウインドスクリーンを囲っちゃうと、やっぱり声が歪みすぎちゃうんで。あと、親指を握り込むことで、肩とか首に力が入らずに歌えるんです。でも、嬉しいですよね、タコができるとか。喉の消耗具合とか、外からは見えないじゃないですか。こうやって喉以外のところで、歌ってる証ができる喜びみたいなのはありますね。

-   レコーディング用のマイクは今、SM58とは別のものをご自分で持ってらっしゃるんですよね。

ちょっと浮気しちゃってます(笑)。レコーディングでは今、NEUMANNのコンデンサマイクを使ってます。前のアルバム(『アサイラム』/2010年)のレコーディングで、NEUMANNのダイナミックマイクを初めて使って、その後でNEUMANNのコンデンサマイクを買って『リヴスコール』から使い始めました。エンジニアさんが「将司さんのグワーッて激しいニュアンスも出せるし、優しく歌うニュアンスも出せるよ」っていうことで、Neveのコンプをかけたりして録ってます。結構広いレンジで録れるし、奥行きもあるし、よかったですね。でも、握ってる感じがSM58じゃなかったから……握り心地のいいポイントは探しましたけどね(笑)。

-   レコーディングもハンドマイクなんですか?

今はほとんどハンドマイクですね。それも結構感覚が違って。『アサイラム』からハンドマイクでレコーディングするようにしたんですけど。エンジニアさんに「ライブはハンドマイクでやってるんなら、ハンドマイクで録るか」って(笑)。確かにそうだなあと思って。エンジニアさんいわく、ハンドマイクのほうが、鼻からも抜けてる息遣いも録れるし、呼吸感がもっと伝わるし。単純に、身体でリズムを取りながら歌っていくから、歌のリズム感が全然変わるんですよ。絶対おすすめですよ、ハンドマイクのヴォーカリストは。絶対ハンドマイクで録るべきだと思います。

-   マイクが替わると、歌い方とか歌う時の感覚って変わりますか?

変わりますね、絶対に。マイクを持った時に、自分がどれだけ安心できるかっていうのは、歌い手の心に関わってくる問題だと思うし。もう感情の一部ですからね。ガイコツマイク(※55SH Series ll)だったら全然違う歌い方になると思うし(笑)。自分の歩んできたヴォーカル・スタイルとSM58は全部直結してますからね。SM58とともに歩んできた、っていう感じですね。

-   たとえばギタリスト同士で楽器の情報交換をしたりする話はよく聞くんですが、バンドのヴォーカリスト同士でマイクについて話し合ったりするんですか?

「レコーディングで何のマイク使ってる?」っていう話はしますけど、「ライブで何を使ってるか」までは……TOSHI-LOW(BRAHMAN)さんに「なんでワイヤレスなんですか?」って訊いたことはありますけど、「コード絡まったらめんどくせえべよ」って言ってました(笑)。最近気がついたんですけど、俺、マイクと一緒にコードを持ってるんですよね。この安心感もあるんですよ。増子(直純/怒髪天)さんも、コードを手に巻いて持ってるんですけど、あれもたぶん、マイクと一緒にケーブルを持ってる安心感があるんだと思うんですよね。

-   山田さんのステージ・アクションは、ワイヤレスマイクを使っていてもおかしくない激しさですけどね。

そうですね。でもその分、落としちゃった時の恐怖感はありますね。SM58だと、価格もお手頃というありがたさもあるので(笑)。たまに落としちゃって、ウインドスクリーンがベコッてへこんじゃっても、内側から叩けばすぐ戻るっていう(笑)。その感じもまたいいですよね。

-   SM58を使ってプロを目指す若きミュージシャンに向けて、ひと言メッセージをいただけますか?

俺もそんなに他のマイクは知らないですけど、やっぱりSM58はマイクの主流だと思ってるので。自分を試していくには、SM58を使い続けたほうがいいぞ、と思いますね。SM58に合わせに行って悪いことはないと思うし。自分も高みに昇っていけると思うんですよね。

-   クセの強いマイクではないからこそ、自分自身のありのままの姿が試されるわけですね。

そうですね。スタンダードだからこそ、ごまかしが効かないっていう。逆にそこで、自分がどんどん試されて、上を目指していける感じはありますね。個人的には、「SM58で育った」っていう人のほうが、「お、こいつは裸で勝負してんな」っていう感じがしますね。「マイクはこれじゃないと歌えない」っていうこだわりもそれぞれあるとは思うけど、「一緒に育っていく」っていうことで言えば、SM58がいいと思います。自分も、もっといい表現ができるようになりたいですね、SM58とともに。

インタビュー・文: 高橋智樹 (たかはし ともき)
撮影:東京神父 (とうきょう しんぷ)
2013年1月

山田 将司(やまだ まさし)

THE BACK HORN(ザ・バックホーン)のボーカル。
バンドは1998年に結成。
近年のロックフェスティバルには欠かせない存在となったTHE BACK HORNは黒澤清監督映画『アカルイミライ』、アニメ『機動戦士ガンダム00』等の作品でテーマ曲を務めるなど、オリジナリティー溢れる楽曲でクリエーターとのコラボレーション多数。東日本大震災後に緊急配信した楽曲「世界中に花束を」では収益金全額が震災復興の義援金として寄付されている。2012年激動の一年を経て出来上がった全身全霊のアルバム『リヴスコール』を発表。2013年結成15周年を迎え、―今、残したい音楽―として、『リヴスコール』を引っ提げて行われたツアーを収めたライブCD、DVDを2月6日、3月27日に連続リリース。

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