音の洗練度合いという点で頭ひとつ抜けている – SE112レビュー

現在イヤホンにおいて5千円前後という価格帯は激戦区。スマートフォンやポータブルオーディオの付属品に飽き足らなくなったユーザが代替品を最初に検討するクラスであり、販売台数はひときわ多い。このボリュームゾーンを制するために、メーカー各社は戦略的な新製品を相次ぎ発表している。

そこへ一石を投じるべくShureが開発した製品が、この「SE112」だ。SE215に続くダイナミックドライバーモデルであり、音作りの方向性という点では共通項を見いだせるが、ハウジングの形状など構造は大きく異なる。ケーブルも他モデルのような着脱式ではなく直付けとなる。

価格からするとエントリークラスに分類される本機だが、音は確かにShureのクオリティだ。やや強調された低域は締まりよくタイト、スネアのアタックも濁ることがない。中高域は制動感高く、ドラムのリムショットはヌケよく決まり、ボーカルも定位よく輪郭をくっきりと描き出す。ホーンセクションの艶と輝きもいい。これまで聴いた同価格帯のイヤホンと比較すると、音の洗練度合いという点で頭ひとつ抜けている印象だ。

一方、装着性はShureの他モデルと少々異なる。いわゆる「Shure掛け」を基本とするが、ノズルの角度設定を工夫しているため、ケーブルを下に垂らす一般的なリスニングスタイルでも楽しめるのだ。ハウジングもコンパクトで装着時の違和感は少ない。Shureならではの高いクオリティを保ちつつイージーに付きあえるという特性は、スマートフォン/ポータブルオーディオ付属品からの買い替え層に強くアピールすることだろう。

海上 忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。UNIX系OSやスマートフォンに関する連載・著作多数。オーディオ&ビジュアル機器方面では、BluetoothやAirPlayといったワイヤレス技術のほか、DLNA/DTCP-IPに代表されるネットワーク関連機能の豊富な取材経験を持つ

シュア・ ジャパン株式会社

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