WHY WE CHOOSE SHURE - Shureを選ぶ理由 -

レコーディングエンジニア 浦本雅史氏インタビュー

「Shureマイクが音の基準なんです」

Shureマイクとの最初の出会いを教えてください。

学生時代にバンドでベースをやってまして、オリジナル曲の制作で始めて使ったマイクが運命的な出会いとも言える「ShureのSM57」だったんです。その後、音響の専門学校を経て、レコーディングの現場に飛び込み、実際に様々なメーカーのマイクを試した結果、今では、Shureのマイクは「無くては生きていけない!(笑)」といって言いほど、自分のサウンドメイクに欠かせない定番マイクになっています。

様々なShureマイクの中でお気に入りは何ですか?

ダイナミック系では、昔から使い続けているSM57と、最近ではBETA 58Aを使ってます。ドラム周りでは、スネア、タム、ハイハットにSM57を使ったり、ギターアンプやアコギには絶対立ててます。あとキックにはホールにBETA 58Aを突っ込んで使いますし、以前はベースアンプにもBETA 58Aを使っていました。この2本はレコーディングセッションで必ず使うマイクです。

コンデンサー系では、前回のレコーディングでも使ったサイドアドレスタイプのBETA 181ですね。BETA 181はドラムのスネアに使ったんですが、サウンドが明るくて、カブリも少なく非常に扱い易すかったです。指向性が鋭いので、向ける軸や距離をシビアに調整する事で最高のサウンドが得られ、とても気に入ってます。

浦本さんが感じるShureマイクの良さは何処にあると思いですか?

生音がリアルに感じられる点がいいですね。例えば、他のコンデンサーやチューブマイクで録られたモノは、音質は良いんですが、Shureで録った音の方が、その人や楽器、アンプのキャラクターが前に出て聴こえるんです。チューブマイクなんかでは、それ自体で音質にキャラクターがあるので、生音がデフォルメされちゃうんですが、Shureは音がストレートに伝わってくる感じなので、「とりあえず57!」ってアシスタントに立ててもらい、その音を基準にして、様々なマイクアレンジを考える事ができるんです。

今回の録音で使われているShureマイクとセッティングポイントを具体的に教えてください。

今回のレコーディングではギターアンプとドラム、あと各プレーヤーのトークバック用にShureを使っています。トークバックのマイクは、コーラスやアレンジ等を仮録りするケースがあるので、ストレートなサウンドのSM58を選びました。

ギターアンプの録音では、SM57を使い、サランネットとの距離を1〜2cmのオンマイクにして、スピーカーのダイレクト感が強いチープなサウンドになる様にセッティングしました。更にオフマイクにコンデンサーのノイマンU87を立てて空気感をプラスしてます。オンのSM57とオフのコンデンサーのミックス音が好きなんです。

ドラムのスネアでは、トップとボトムにSM57を2本使ってます。セッティングのポイントは、トップとボトムのマイクを共にスネアの皮とほぼ平行にセットして、SM57のカプセル側面をスネアのリムの内側辺りにオンでセットし、指向性を打面とエッジから外すと、ピーク成分が抑えられ、安定した太いスネアサウンドになるんです。それにオーバーヘッドのスネアの胴鳴りを混ぜて完成させていきます。

キックにはBETA 58Aを表の皮のホールに入れて使ってます。今回の録音では3本のマイクを使ってキックを録音してるんですが、BETA 58Aをホール用に使うと、芯の太いサウンドが得られるんです。Shureにはキック専用のBETA 52Aが有るんですが、あえてBETA 58Aを使って100Hz近辺のガッツを強調したマイクアレンジにしています。

Shureのマイクを使ったミックス時の利点は?

Shureで録音した素材は、歌や楽器の生音のキャラクターがハッキリ録れるので、出音が良ければ過度なEQやコンプ処理は必要ないんです。逆に別のマイクで録った素材などは、Shureの音を判断基準にしているので、キャラクターや灰汁(あく)を付けていかなければならない場合があるので、作業効率も変わってきますね。

実際のミックスでは、中域に音が集まりやすいので、周波数レンジを広げるためにEQを使います。単体楽器のサウンドメイクでは、同録したコンデンサーマイクの音と混ぜてサウンドを作ったりします。例えばアコギの音作りでは、中域傾向のSM57のサウンドに、BETA 91Aバウンダリーコンデンサーマイクの空気感をプラスしたんですが、非常に良かったです。

最後にShureを選ぶ理由を教えてください。

昔から使い慣れたマイクで、無い事が考えられないですね(笑)。Shureで録ると楽器やボーカルのニュアンスがストレートに伝わってくるので、他のマイクを選ぶ場合でも、「音の基準」として使ってます。あとコンソールやヘッドアンプを変えても、基本的なマイクのキャラクターが変わらないので、スタジオやシステムが変わってもShureがあれば対応できます。

<レコーディング実践>

ギターアンプ録りSM57

浦本氏:今回の録音では、ギターアンプにはSM57を使い、1~2cm程度の距離でオンでセットして、スピーカーの中心から横辺りを狙い、空気感と音圧を抑えたチープなギターサウンドを狙っています。また10cm程度離すと空気感と音圧感がプラスされリッチな音にする事もでき、SM57のマイクアレンジ能力の高さを感じます。またギターサウンドには空気感も大事なので、オフにコンデンサーマイクも立ててます。

キック録りBETA 58A

浦本氏:ドラムのキックにはBETA 58Aを使い、芯のあるサウンドを録ります。キック録りの場合ウィンドスクリーンがついてるBETA 58Aが理想のサウンドになりますね。セッティング方法は、ホールに頭が少し入った位いがいい感じで、BETA 58Aを基本に、低音は表と裏の皮を別のマイクで拾い、低音を補っています。今回リズムは一発録りなので、音の回り込みを抑えたり、余計な響きを無くすために毛布を覆せてます。

スネア録りSM57

浦本氏:スネアには二本のSM57を使って、トップとボトムを狙います。セッティング方法は、スネアの皮に平行にセットして、マイクヘッドをリムの内側までつっ込み、マイクの指向性を打面から外す事で、ピークを抑えた太いサウンドが録れる様にしています。あと、今回はハイハットにAKG 451を使っていますが、音の重心を下げたい時やスネアとキャラクターを合わせる場合にハイハットにもSM57を使っています。

タム録りSM57

浦本氏:タムとフロアタムにはSM57を使って、マイクを立ててエッジを狙ったセッティングにしています。タムやフロアタムはアタック音を録るというよりは、響きや低い周波数、音程感を大事にしていますので、SM57ではこのセッティングになりました。今回の録音では共にSM57を使っていますが、フロアタムにBETA 52Aを使って、さらに豊かな低音が録れるマイクアレンジにする場合もあります。

2012年12月

浦本 雅史 (うらもと まさし)

バーニッシュストーン、青葉台スタジオを経て独立。
2012年、株式会社ソイ設立。
主に、サカナクション、plenty、ねごと、近藤晃央、Chocolat&Akito を手掛ける。

SM57

卓越した性能、数々の伝説を生み出した信頼性、高い汎用性を併せ持つSM57は、世界中のプレイヤー、プロデューサ、エンジニアが認める「最高傑作」としての地位を確立しています。

BETA ® 181

BETA 181は、異なる指向特性を持つ交換式カプセルを採用した超コンパクトなスモールダイアフラム・サイドアドレス・コンデンサー型マイクロホンです。

BETA ® 52A

低音楽器用に最適な周波数特性を備え、音圧の高い楽器の力強いサウンドをクリアーに収音するBETA52Aは他の音源からの影響を受けにくいスーパーカーディオイドデザインです。

BETA ® 58A

プロ仕様の音空間の創造やスタジオレコーディングのために生まれた、スーパーカーディオイド・ダイナミック・マイクロホンです。

BETA ® 91A

BETA 91Aは、XLRコネクターを統合したプリアンプを搭載したハーフカーディオイド指向特性のコンデンサー型バウンダリーマイクロホンで、パワフルな低周波レスポンスを生みだします。